今月17日に韓国で開幕するVCT PACIFIC 2024 KICK-OFFに出場するフィリピンのTeam Secretですが、世界的メンズファッション誌エスクァイアのフィリピン版にて特集記事が公開されました。
エスクァイア(Esquire)とは、1933年にアメリカで創設された世界初の男性誌。現在は日本やフィリピン含む世界28か国以上で発行されています。以下、記事から一部抜粋した文章を引用しています。
Team Secretが世界大会で結果を残すと、当時は誰も考えていなかった。しかし、チームが国際的な舞台に初めて立ってから長い時間が過ぎた。彼らの現在の成績に疑念を抱いたり、所属した年長の選手たちに脱退を求める声も一部コミュニティから寄せられていた。
しかし、彼らは昨月行われたPredator League 2024で優勝を収めた。国際大会としては初の優勝である。そんな彼らの現在のメンバーは、Jremy(19歳)、Invy(19歳)、NDG(19歳)、BORKUM(27歳)、JassieVash(33歳)だ。
年齢の壁
Team Secretには、19歳から33歳まで幅広い年齢の選手が所属している。特に33歳のJassieVash、27歳のBORKUMはコミュニティから標的の的にされる。BORKUMは年齢の壁についてこう語る。
「まだ自分が27歳とは思えません。私たちチームの雰囲気は一体感そのものです。練習ではお互いを対等に扱い、全員で共に成長していくことを意識しています。」
また、チーム最年長で今年で34歳を迎えるJassieVashは常に年齢に関するネガティブなコメントが届くと話した。年齢の問題もあり、常にメンバー変更の不安もあると語ってくれた。
「『年を取りすぎている』『ロスターから降りるべきだ』といったコメントはよく貰います。しかし、私は年齢を気にしたことは一度もありません。重要なことは年齢ではなく、試合のパフォーマンスや大会の戦績です。」
「自分がスターティングメンバーから降りるかもしれないという不安は常に持っています。チームの中で一番年上であることを考えると、それはより顕著だと思います。だからこそ、常に上を目指すべきです。それが私が常に最大限の努力をしている理由です。」
昨年10月にはNDGが新たに加入した。JassieVashは彼を「破壊力を持ちながら、落ち着いた選手」と話す。また、チームについてこう語った。
「私たちのチームは比較的落ち着いていると思いますが、意欲的かつ情熱的な若い選手も在籍しています。彼らの影響もあり、より一生懸命、全力で練習に取り組むことができるのです。」
Team Secretはフィリピンの一般的なチームとは異なり互いに素直で、チームメイトのミスを遠慮なく指摘することができる関係性だと、BORKUMは話す。
「私たちの関係は非常に良いです。お互いをいじり合う関係でありながら、プロ意識は忘れていません。互いのプレイを批判しても、嫌な気分になったり、個人的な言い合いになったりすることもありません。」
フィリピンの多くのチームを見てきたJassieVashは、Team Secretを他の多くのフィリピンのチームとは対照的だと語る。
「フィリピンの一般的なチームは互いを批判することを恐れたり、恥ずかしがったりします。しかし、こういうことをオープンに話し合うことは非常に大切で、特に誰かが悪いプレイをした時はなおさらです。これは韓国や中国など他国のチームから学んだ文化です。彼らは常にチームメンバー間で問題を話し合っていました。」
今回のインタビューは、彼らのプロモーションムービーの撮影を取り終えたばかりだった。車から降りたJassieVashはスニーカーにアクセサリー、十字架のネックレスなどお洒落な出で立ちだった。しかしそんな彼はプロ選手になる前、警備員やウェイターとして働いていた。今とは大違いだ。
「昔はコンピューターショップで警備員をしながら、バーでウェイターとして働いていました。そんなに変わりましたか?」
彼は2000年代半ば、ウェイター、警備員と2つの仕事を掛け持ちし、最低賃金を稼ぐのがやっとだった。しかし今、彼含む他のメンバーは毎月6桁の収入を得ている。
彼らに家族を養うこと以外のお金の使い方を尋ねたところ、総じて「貯金と投資」と答えた。Team Secretのようなパートナーチームは、他のタイトルのゲームに比べ良い収入を貰っているが、BORKUMはアマチュアだった昔を笑いながら振り返った。
「eスポーツの世界に入ったばかりの頃、給料はたったの5,000ペソ(約13,000円)でした。しかし、1日に3回食事はできました。ゲーミングハウスに住んでいて食事が提供されていたため貯金はできました。」
疑心暗鬼をモチベーションに
多くのチームにとって、コミュニティから届くネガティブな声への対処は大切だ。プロ選手はそれにどう対処するかが非常に重要なのだ。BORKUMは彼のベンチ入りを求める声がコミュニティから寄せられていたが、Predator League 2024で優勝するまで、それに反応せず沈黙を貫いていた。優勝後、彼は自身のX(旧Twitter)でこう呟いた。
「私たちを疑ってネガティブなコメントを送ってくれた皆さん、そして私たちを信じてくれた皆さんに感謝しています。私たちが今ここにいるのは、皆さんのお陰です。」
「オフシーズン中、メンバー変更がありました。共に戦ってきたDubstePがロスターから降りましたが、コミュニティでは私をメンバーから降ろすべきといったコメントもありました。そのコメントが、私のモチベーションを高める原動力となりました。」
世界王者への夢
BORKUMは高校時代、プロのバスケットボール選手を目指していた。しかし大学に進学すると、自分より体格の大きな選手があまりにも多いことに気付き、敗北感を味わった。
「大学に入学したとき、自分にはチャンスがないことに気付きました。競争があまりにも激しすぎました。だから、eスポーツでトップを目指そうと決心しました。」
「私自身、決して裕福な家庭の生まれではないため、今現在十分な給与を貰っているとして、この状態を維持し続けたいと考えています。自分自身のために、モチベーションを上げています。仲間たちと一緒にトロフィーを持ちあげたい。自分が最高の選手と世界が認めてくれたときの喜びは計り知れないでしょう。」
また、19歳のNDGはこう話してくれた。
「上達したいといった思いとは別に、eスポーツのキャリアを応援してくれる家族のためにもプレイしています。家族が私を人間として成長させてくれました。今は学校を休学していますが、今の焦点はeスポーツのキャリアを継続することです。自分自身の実力を世界に証明する目標があります。」
チーム最年少かつ先日の国際大会でMVPに輝いたJremyだが、MVPの賞金1万ドル(約150万円)はチームメンバーで平等に山分けをしたと話した。
「誰がMVPを受賞しても、その賞金は全員で分け合おうと話していました。1人で1万ドルといった大金は大きすぎるため、メンバーで分けようと思っていました。」
ブキドノン出身の彼は、首都マニラのあるルソン島に家を建てることを夢見ている。また、両親がミンダナオ島からニュージーランドに移住する費用を補助し、現在はフィリピンで叔母と暮らしている。それまでは、両親に仕送りを送っていたという。
「私の夢は、ルソン島に家を持つことです。今は自立しているため、いつかは自分の家を建てたいです。」
eスポーツで世界を目指すJessieVashは、フィリピンの英雄であるマニー・パッキャオを目標として語る。
「幼いころから、マニー・パッキャオがフィリピンの英雄として活躍する姿に目を奪われていました。私も国を背負えるような存在になりたい。たとえ貧しい国であっても、裕福な国と同じ道を歩み、自分たちが偉大であることを証明したいです。パッキャオは何も支援がない状態からそのキャリアを歩み、世界最高のボクサーとなりました。私はTeam Secretがそのような存在になることを夢見ています。」
Team Secretは昨月行われたPredator League 2024では優勝を収め、賞金65,000ドル(約970万円)を手にした。そんな彼らの次なる挑戦は、韓国で開催されるVCT PACIFIC 2024 KICK-OFFだ。初戦の相手はタイのTalon Esportsだが、Masters Madridの切符を掴むことはできるだろうか。彼らの試合に注目が集まる。
かっこええな
返信削除がんばれ
顔が男前すぎる
返信削除フィリピンの平均月収は4万円弱らしいから、パートナーチームの収入めちゃくちゃデカいんだろうな
返信削除夢あるな
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