ドイツでは現在、Masters Madridへの出場をかけたVCT EMEA 2024 KICK-OFFが開催中。BBL Esports、Liquidを下しプレイオフ進出を果たしたNatus Vincereですが、同チームに所属するardiisが昨年の振り返りや今大会でヨルをピックした理由をStrafe Esportsのインタビューで語りました。

BBL戦お疲れさまでした。試合を終えていかがですか?

正直に話すと、全体的に少し下手になったように感じました。1マップ目を落としてしまいましたが、初歩的なミスがあっただけで勝てる試合だったと思います。半年から8ヶ月くらい公式戦がありませんでしたが、公式戦は練習と全く雰囲気が違います。やはり少し下手になったと思います。

また2マップ目のアセントは個人パフォーマンスが微妙でした。今回の試合は個人としても、チームとしてもミスが多くあったと思います。

ミスが多かったということですが、具体的にどのような部分でしょうか?

予定していた動きができなかったシーンがありました。お互いにフラッシュを当ててしまったりと、マクロの部分で良くないシーンがありました。全体的に問題はありませんでしたが、タイミングが合わなかったりとラウンド勝利に繋がる小さなミスが重なっていたと思います。

オフシーズンが長かったため、仕方のない部分だと思います。

そうですね。実際、今回の試合は私にとって8ヵ月ぶりの公式戦でした。こういったことが起きるのはしょうがないことだと思います。

昨年日本で開催されたRiot Games ONEに続き、バインドではKAY/Oをプレイされていました。マップによってサポートだったり、デュエリストだったりと役割を分けているのでしょうか?

基本的にはマップにオペレーターが必要か、必要ではないかで考えています。オペレーターが必要であれば、私がデュエリストを担当するかもしれません。それ以外では他のエージェントもプレイしますが、これ以上は話すことはできません。

初戦は勝利と好調な滑り出しを切りました。チームへの期待はいかがですか?

長らく同じメンバーでプレイしていたため、すでにチームワークはあります。相性もいい感じです。それぞれクセがある選手ばかりですが、お互いを知っているからこそ上手くいっています。こういったことをすると怒る、怒らない、喜ぶといった性格も理解しています。

お互いを知り尽くしているからこそ、良い連携が取れています。約2年間ともにプレイしてきましたが、一緒にプレイしてきた時間から得られたものは多く、だからこそ5人全員がうまく噛み合っています。

しかし、あなたはアメリカのNRGに昨年移籍しました。また戻ってきたと言うことは、居心地が良かったのでしょうか?久々に再開してみて雰囲気など変わったことはありますか?

変わったことはほとんどないと思います。ただ所属したチームがFunPlus PhoenixからNatus Vincereに変わっただけです。しかし、FPXはより結果を重視していました。勝つことしか考えていませんでした。彼らは私のことも特に気にせず、これはいらない、これは捨てるといったような感じでした。よく「勝たないと意味がない。勝つことで幸せになることができる」と言っていました。

しかし、NAVIはまさにTier 1のチームといった感じです。トップチームらしく、メディア活動にも注視しています。FPXと反対であれもやろう、これもやろうといった感じです。ある意味似ているような感じですが、NAVIの方が少し忙しいといった感じですかね。

そしてヨーロッパに帰ってきたわけですが、そのきっかけを教えてください。

もうヨーロッパ以外の国に住むことはないと思います。まったく違う国に住むことがどれだけ大変なことか分かっていませんでした。タイムゾーンもまったく異なります。友人と話したくても、アメリカでは午後2時だったとしても、母国では朝の2時でした。

タイムゾーンの関係で様々な問題がありました。東海岸に住んでいたらもう少し楽だったかもしれません。西海岸に住んでいたため、友人や家族と話すのはほぼ不可能に近い状態でした。

Shaoがコントローラー、ANGE1がイニシエーターと役割が入れ替わっていましたが、具体的にどのように役割分担をされているのでしょうか?

私からお話しできることは、柔軟性のあるチームを作ろうとしているということです。恐らく今のチームはSUYGETSUを除いた全員が8~9のエージェントをプレイしたことがあると思います。

Zyppan、Shaoは恐らく何でもプレイできると思います。Zyppanは現にデュエリストもやっています。私自身もほとんどのエージェントをプレイしたことがあります。そして、ANGE1はスモークに加え、イニシエーターもやっていました。

しかし、マップによって私たちの強みが生かせない場合もあります。私たちはそれぞれ得意なエージェントが異なるため、かなりマップに依存します。例えば、あるマップではShaoがオーメンとを使っていたとしても、他のマップではオーメンを使うとは限りません。同じように、SUYGETSUがバインドでKAY/Oを使っていたとしても、アセントでKAY/Oを使うとは限りません。柔軟性を得る代わりに、マップ依存度が高くなりました。

なるほど。Shaoは優れたイニシエーターとして高く評価されているからこそ、今回の試合では「なぜ彼にソーヴァを任せないのか?」といった声が多くありました。

ANGE1がオーメンを使うとなると、1人で動くシーンが増えます。しかし彼はIGLであるため、それを好んでいませんでした。そのため、固まって動くイニシエーターを担当していると思います。しかし、マップによってはまだ変更を加える必要があります。現在も調整中です。

ANGE1についての質問ですが、ANGE1、FNSと世界トップクラスのIGLのもとでプレイした経験がありますが、実際にプレイしてみて感じた印象を教えてください。

正直、スタイルは非常に似ています。というのも、北米に移住して衝撃を受けた1つがまさにそれでした。ANGE1、FNSはどちらも基本に忠実なプレイをします。デフォルトを常に意識しており、ミスをしないことを重要視としています。

2人とも似たようなスタイルで本当に驚きました。北米に移住した時、IGLが合うかを一番心配していましたが、FNSが本当に良いIGLだったため、嬉しかったです。彼は本当にANGE1と似ていました。

ブリーズではチェンバーやジェットが頻繁に見られますが、BBL戦ではヨルをピックされていました。ヨルを選んだ理由を教えてください。

正直なところ、フラッシュ持ちということが大きな理由だと思います。ブリーズではフラッシュが必要な場面が多いです。もちろんKAY/Oも役に立ちますが、テレポートやアルティメットが強力なヨルの方が利点が多いです。

ジェットより確実に優れているとは断言できませんが、ジェットにはジェットのプレイ、ヨルにはヨルのプレイがあると思います。しかし、全体的にはヨルの方が堅実なのかなと思います。

今回の試合を見ていて、2022年のチェンバーを思い出しました。アグレッシブに勝負してキルを取ったら逆のサイトにテレポートしてまた戦うといったスタイルは当時を彷彿とさせました。

そうですね。しかし、ヨルのテレポートには即効性が有りません。チェンバーは馬鹿げた角度で勝負しても即座にテレポートで帰ることができます。ヨルもアグレッシブに勝負できますが、チェンバーほどではありません。

ヨルのテレポートは0.5秒ほどかかるため、優れた選手はその僅かな秒数を狙ってキルを取ってきます。ランク戦では逃げ切れるかもしれませんが、プロはこの時間の間にヘッドショットを決めてしまいます。リスクを取ることも大事ですが、危険を取りすぎないことも重要です。

あなたはアメリカとヨーロッパでそれぞれ成功を収めた数少ない選手ですが、2つの地域の違いを教えてください。

アメリカは北アメリカと南アメリカの2つの地域を合わせているため、総合的に強いと感じました。2つの地域の利点を兼ね備えているため、どのチームも強力でした。

しかし、スクリム面で見たら、ヨーロッパの方が倍以上優れていると感じました。トップリーグだけで見たらアメリカの方が少し強いかもしれませんが、シーン全体で見たら、ヨーロッパの方が少し強いと思います。

インターナショナルリーグの中で順位を付けるなら、今年のEMEAは何位だと思いますか?

恐らくEMEAが1位だと思います。昨年は前年王者のLOUDの影響もありアメリカが1位だったと思いますが、今シーズンはEMEAが1位になるでしょう。しかし前年度の成績だけ見ると、アメリカだと思います。アメリカはNRG、LOUD、Leviatánなど前シーズンに優れた成績を収めた強力なチームが揃っています。

EMEAを1位と予想する理由を教えてください。

スクリムを通してみて、どのチームも強力になったと感じました。Kamine Corpは見違えるほど強力なチームになりました。FUT EsportsもcNedが加入し、アップグレードされたと思います。NAVIも私が帰ってきました。

FNATICは現状最強のチームです。Liquidは3人の新進気鋭の選手が加入しました。そのうち2人は過去に世界大会で活躍するなど既に実績があります。その他のチームも強くなっていく様子を見てきました。

一方、アメリカは多くのチームが合併・解体の再編成となりました。Evil Geniusesは解体し、NRGと統合されました。LOUDからはaspasが離れました。アップグレードとなるか、ダウングレードとなるか、現在は様子を見る必要があるでしょう。

BoostioはEMEAを1チームだけが突出したリーグだと話していましたが、それとは逆の意見ですね。

正直なところ、彼の考えも間違えていません。確かに去年は1チームだけが強いリーグだったと思います。しかし今年は異なります。それぞれが上手にメンバー変更を行ってきました。今後の動向に注目でしょう。

10 コメント

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  1. アメリカとヨーロッパって似たようなもんかと思ってたけど違うんだ

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    1. アメリカがデカすぎる

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    2. アメリカとヨーロッパも全然違うし
      アメリカ国内でも西部中央部東部で全然違う

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    3. 全然違う 絶対一括りにしてはいけない

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  2. >同じように、SUYGETSUがバインドでKAY/Oを使っていたとしても、アセントでKAY/Oを使うとは限りません。

    Zyppanの間違いじゃないか?と思う

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    1. ただの例え話だからそこらへん本人は細かいとこ意識せず口にだしてるだろうし気にしなくていいと思うぞ

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  3. いいインタビュー

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  4. >ANGE1、FNSはどちらも基本に忠実なプレイをします。デフォルトを常に意識しており、ミスをしないことを重要視としています。

    ANGE1ってネジ外れたヤバいプレイする印象が強すぎるんだけどラウンドで見てみると必要なプレイだったりコール自体は模範解答だったりするのかな。奥が深すぎるわ。

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    1. ヤバいプレイ自体は本人も自覚してるんだけど衝動が抑えられないみたいなこと過去にインタビューで答えてたよ
      汲み取りすぎかもしれないけどIGLとしての考え方、状況把握から指示するまでのプロセスや指示内容をプレイと言ってるのかもしれない

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  5. このチーム水月以外の選手ロール関係なく使えるのすごいな

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